2019年8月10日〜12日まで滋賀県立アイスアリーナで開催された『げんさんサマーカップ2019フィギュアスケート競技会』(以下・サマーカップ)を取材して来ました。
大会初日はジュニア女子6級と7級の試合が行われました。
*注釈 女子は7級をとると五輪選考会を兼ねた全日本選手権の予選にエントリーすることができます。8級は試合のエントリーとは関係がなく、トリプルアクセルが条件になりますから、取得している選手はあまり多くありません。
朝8時からジュニア女子6級が開始。出場する選手たちが自らの出番を待ちます。
会場のフロアで母親にメイクをしてもらう選手、ジャンプを入念に確認する選手、ストレッチで体をほぐす選手と準備に余念がありません。
こうやって選手との距離を近く感じられるのも、サマーカップの良いところ。
さっきまで目の前で出場するまでの準備をしていた選手たちがリンクの上で戦いを繰り広げる。グッと胸が熱くなります。
この日、シニア女子の三原舞依選手(シスメックス)が棄権と発表がありました。
ファンの間では「舞依ちゃん大丈夫かな?」「舞依ちゃんのことが心配」と声があがりました。
やはり彼女の体が最優先と皆、復調を願っていました。
*注釈 後の「体調不良のため」と発表されます。彼女の美しいスケーティングを見るのを楽しみにしていたファンも多くいました。が、やはり彼女の体が最優先と皆、復調を願っていました。
ジュニア女子は非常にレベルの高い戦いとなりました。やはり目を引いたのはショート1位通過の松生理乃選手(グランプリ東海クラブ)。
淡いピンクと紫のグラデーションがきいた衣装です。ショートプログラム『カラーパープル』を演じました。手の動かし方が非常に美しく、バレエジャンプの入ったステップもなめらか。63.94をマークしました。
ショート3位の住吉りをん選手(駒場学園高校)。
冒頭のダブルアクセルは決めたものの、トリプルフリップで転倒、コンビネーションがつけられないミス。ただし、その後のトリプルループは流れがありました。
注釈 ショートプログラムはジャンプが4つだけ。そのうち2つはコンビネーション、1つは単独のアクセル系ジャンプです。
ステップ、レイバックスピンも空気をまとうような軽やかさで、まさに天使のような演技でした。フィニッシュでまさかの尻もちをつき、本人も思わず苦笑いしていました。
ショートの曲『The rose』は宮本賢二さん振り付けで住吉選手本人も「好きな曲で、気持ちよく滑れた」と聴くだけで感情が上がるそう。点数は54.27でした。
ショート2位で折り返したのは本田望結選手(関西大学中・高スケート部)。
トリプルルッツ+ダブルトゥループ、トリプルループ、ダブルアクセルとジャンプはミスなし。持ち前の表現力で、スピン、ステップ共に洗練されていました。演技後、
「ジャンプは全てしっかり決まって、練習では全く決まってなかったので、練習のまま本番に出てしまったのは自分のいいところでもあり、悪いところでもある。今日は練習と違う演技ができて、すごくホッとしています」
と安堵した様子でした。
昨年のサマーカップでトリプルアクセルを決めたた吉田陽菜選手(名東FSC)。その後、腰を痛めて欠場がつづきました。
この日はレモンイエローの衣装で登場。ショートの曲は映画「ラ・ラ・ランド」です。音楽に合わせたステップは映画の世界観そのものでした。
トリプルルッツ+ダブルトゥループのコンビネーションが詰まってしまったこと、スピンも思うように回れず悔しい思いをしたと演技終了後、語ってくれました。
—ショートを終えての感想は。
吉田「ジャンプはルッツ+トゥもループも納得いくジャンプができなくて、スピンも思うように回れなくて、マイナスがついていると思うので、結構、自分的には悔しいです」
—原因は?
吉田「最近、身長が伸びて3−3が前よりも確率が低くなっていて、去年よりは自信がなかったかな、と」
—身長はどのぐらい伸びた?
吉田「1年で7センチとか伸びていて。150センチはあると思います。去年から今年にかけて一番伸びています」
—それによって今までできていたことができなくなってきた?
吉田「一応、飛べるんですけど、確率が少しずつ低くなっているのかな」
—この大会ではどのような目標を持っている?
吉田「自分が練習通りの演技をして、フリーではアクセルにも挑戦するので、アクセルをちゃんと降りて、他のジャンプも全部降りられるようにしたいです」
—アクセルには身長が伸びたことは影響していない?
吉田「アクセルは確率的には落ちてないかもしれないんですが、飛びにいっている本数は結構、集中しないと飛べないので、そういう意味ではまだ成長してない」
—アクセルの成功率は?
吉田「40%とか50%はいってないと思う」
—今シーズン、試合にたくさん出ているかと思いますが、体力的には?
吉田「試合がないと気合も入らないし、ちょっと浮いてしまうというか、練習がしっかりできないので、試合がたくさんあることはありがたいことなので、全部の試合で納得できる演技がしたいです」
—去年、試合に出られなかった分、感じることはありますか?
吉田「去年はここで終わってしまったので、今シーズンの一番の目標は怪我なく、納得いく結果を残すことなので、自分の体の調子を全日本ジュニアに向けて、整えていけるように頑張ります」
6分間練習では好調のように見えたのですが、やはり成長期の壁も感じているよう。しかし試合に出られる喜びは体全体から溢れ出ていました。ショートの点数は49.94で8位。
*注釈 身長がのびている時期は、ジャンプの感覚や飛んでいるとき目に入る高さも変わってしまいます。日々の練習をつづけ、そのつど調整していくしかありません。選手も指導者も辛抱の期間です。
浦松千聖選手(中京大中京高校)は昨年に引き続きショートは「トゥーランドット」。冒頭のトリプルルッツにコンビネーションがつけられませんでしたが、スピンは全てレベル4。スケーティングも壮大でした。
演技を終え、ジャンプのミスを悔しがる浦松選手。点数は48.10で11位。
—ミスしてしまった原因は?
浦松「合宿から帰ってきて、そこから試合までの期間が短くて、調子が崩れていたのを立て直せないままここに来てしまったのが原因としてある。フリーに向けて、見直して行こうと思います」
—今まで調子の良かったショートがこのような形になってしまったことは経験として活かせそうですか?
浦松「今後、ショートの一番初めのジャンプをどう持っていくかがわかったので、活かしていきたいと思います」
—先シーズンはフリーが体力的にきついという話もありましたが、オフシーズンそういった面で取り組んだことはありますか?
浦松「フリーがやはり苦手なので、フリーの後半の練習をやるようにしたら、安定して来たので、フリーで順位をあげるように頑張ります」
—トリプルルッツ+トリプルループを練習している話でしたが、明日のフリーは?
浦松「明日のフリーは入れられないので、とりあえずルッツ+トゥを降りて、セカンドのトリプルトゥを降りられるようにしたいです」
—今回のサマーカップはどのようなことを目標にしている?
浦松「ショートもフリーも揃えることだったんですが、それが叶わなかったのでとりあえずフリーでいつもよりいい演技ができることを今は目標にしています」
—今シーズン新しくなったフリーだと思いますが、意気込みは。
浦松「ショートでこんな形になってしまったので、フリーでは思い切りやって結果を気にせずに全力を尽くしたいです」
—ジュニア合宿で得たことは?
浦松「周りの選手たちが全員上手なので、高難度のジャンプとか挑戦しているのですごく刺激を受けました」
—練習でもモチベーション上がりましたか?
浦松「はい。みんな練習でもミスをしていないので、やはり練習からきちんとやることを学びました」
—その中でも自分の武器は?
浦松「踊りの面で、ジャンプもそこまで得意じゃないので踊りの部分でしなやかに踊れるようにしたいです」
手嶋里佳選手(名東FSC)はサーモンピンクのセパレートの衣装で登場。ショートの「シェヘラザード」ではトリプルルッツ+トリプルトゥループを軽やかに決めました。点数は49.96で7位。
—演技を終えた感想は?
手嶋「スピンがまだレベルが取れてないところがあって、回転数が足りなかったりしたので、そこがダメだったなと思います」
—点数についてはどう感じました?
手嶋「やはりいろんなところでミスがあったので、まだまだダメだと思いました」
—同じクラブの吉田陽菜選手がトリプルアクセルの練習を続けていますが、ご自身は?
手嶋「まだです」
—フリーはどんなことを気をつけて練習している?
手嶋「曲が変わってないので、この曲を極め続けようと思っています」
ショート6位は渡辺倫果選手(青森山田高校)。ショートは「バチェラレット」です。トリプルルッツ+ダブルトゥループ、ダブルアクセル、トリプルループのジャンプはキレがあり、プログラムも大人っぽい印象。点数は50.34。
長縄和奏選手(中京大中京高校)はトリプルサルコウ+ダブルトゥループ、ダブルアクセルは決めたものの、トリプルループで転倒。いずれも高さのあるジャンプでしたが、本調子でなかったのか、ミスが響き、点数は46.07で15位。
横井きな結選手(邦和スポーツランド)のショートは「雨に唄えば」。鮮やかなブルーの衣装で登場しました。冒頭のトリプルルッツ+ダブルトゥループはなんとか堪えて着氷。ダブルアクセルは美しく決めましたが、トリプルループの転倒が残念でした。しかし観客を巻き込む演技を見せ、会場をきな結ワールドに染め上げました。42.33点で19位。
—演技を終えてどうでしたか?
横井「最近、本調子ではなかったので、それが試合に出てかなと思います」
—本調子じゃない理由は?
横井「自分ではよくわからないんですが、今までの注意を忘れてしまったり、飛べていた時の感覚をちゃんと覚えていなかったのかなと」
—今後どうやって修正してきたい?
横井「自分のどこが悪いかを自分で直して、自分で解決したらいい演技ができると思います」
—トリプルアクセル自体の調子はいかがですか?
横井「アクセルの方が良くて、他のジャンプが乱れてしまっているので、アクセルは今まで通りにフリーに組み込めていけたら」
—アクセルはどの程度まで調子が良い?
横井「先シーズンよりアクセルを練習する回数を徐々に上げていって、そしたら確率もよくなって、飛び方も良くなっているかなと。普通に練習通りにやっていけたら」
—フリーへの意気込みを。
横井「フリーはトリプルアクセルを1本目に。いつも2本目だったんですが、1本目のコンビネーションに入れることにしたので、最初と最後きついんですけど、挑戦できたら」
—1本目にした理由は?
横井「ジャンプとジャンプの間に入れるということは、難しかったので、一番最初に入れると、飛ぶ時ちょっと安心できるかなと思ったので」
初日からジュニア女子は國際試合を思わせるほどハイレベルな戦い、今シーズンの盛り上がりを予感させてくれました。
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