ゆみのの㊙取材ノート

MM ジャーナルはシカゴに拠点をおく”週刊シカゴ・ディフェンダー誌"と資本と業務において、パートナーシップを結んでいます。そのためいくつかの記事は英語で ”Chicago Defender"で公開されることになります。ご理解ください。 We have announced that it had agreed enter into a busuiness alliance between "MM Journal " and "Chicago Defender". 

東京ブロック取材に行ってきました。記事は随時アップしていきます。http://news.mm-journal.com/

 シニア女子は横井ゆは菜選手(中京大学)が、ショート2位から逆転優勝を果たしました。

 フリーは去年と同様、「オペラ座の怪人」。衣装は黒と赤を基調とした去年とは違い、今年は柔らかなピンクです。
 ヒロインのクリスティーヌの目線でプログラムが進んでいきます。
 トリプルフリップとトリプルサルコウ+トリプルトゥループでステップアウト。それ以外は完ぺき。TES70.25でトータルスコアは131.291位に躍り出ました。

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 同じプログラムながらも、違う視点で演じ切った横井選手。フリーが終わってからは、落ち着いた様子で次のように語りました。

 

演技を終えてみて?

横井オペラ座の地下に恐れながらも好奇心で入ってみた少女のイメージで。そういう物語ではなかったかと思うんですけど、なんとなくそういうイメージで演じさせて頂きました」

 

―振付変わりました?

横井「はい、結構。後半はジャンプが重なるので、変えることはできなかったんですが、ステップとコレオと最初の出だしはかっこいい出だしだったので、そこを変えることで昨シーズンと違うものになるかなと。あっこ(鈴木明子)さんには最初、もうちょっと違うものをよろしくお願いしますと連絡したりして、考えて下さいました」

 

―クリスティーヌよりで演じてみていかがですか?

横井「ショートは強い女性、悪女というイメージでやったんですけど、それとはまったく違う感じです」

 

―シニアデビューのスタートについて。

横井「全体を通して、大きなミスにはつながらなかったので、そこは自信にしてよかったのかなと思う。小さなほころびが出たので、練習して。少しもすきのないプログラムにしたいと思います。ショートの時も思ったんですが、失敗しても今回、130点頂けたので、それは日ごろの練習が評価して頂けたのかなと思ったので。試合を重ねるごとに練習の大切さがわかってきているので。自分にとっては毎試合、いいものになっています」

 

―これから海外試合も始まりますが、それに向けてはどういう風に修正したい?

横井「国内大会では緊張しているんですけど、心ではどこかいい緊張で持っていけていると思うんですけど、やっぱり国際大会となると、違った日本と違った雰囲気なんで。私は飲まれてしまうと弱いので。飲まれないようにするために練習を頑張ります」


―去年にひっぱられることはない?

横井「見ている方からはしたらひっぱられているかもしれないですけど、一応意識して、去年と違ったものを常に意識して頑張っています」


―朝、(妹の)きな結選手がアクセル決めて刺激になった?

横井「うーん、刺激というより、きびしいかもしれませんけど、“何やっているんだよ、他のところ!”って思いました。それは母も妹に言っていると思うんですけど、妹はアクセルを2回、試合で決めることができているので、私もその分、期待している部分があって。だからこそ、もうちょっとこうやればいいのにっていうのを妹にきつく言ったりして。でも妹は無視みたいな感じなんですけど、きっとこの試合でまとめないと点数がでないと妹もわかったと思いますし、これからの練習に私は期待していますし、どっちかが良くてどっちかがダメっていうのは気持ちの良いものではないので、どっちもいい結果が出せたらいいなと思うので。お互いに私のいいところというか、見習うべきところは見習って。私も妹にもっとよくなるようにアドバイスしたいですし、アクセルに関しては妹のほうがすでに習得しているので、アクセルは頑張って見て、盗みたいなと思います」

 同じ競技者として妹から刺激を受けているようです。

 

 坂本花織選手(シスメックス)のフリーはブノワ・リショーさん振り付けの『マトリックス』。つなぎが濃密で、動きも激しく休んでいるひまがないほどハードなプログラムです。
 ショート6位から追い上げ、2位に入りました。フリー後、息を切らせながら、囲み取材に応じました。

 


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―ずっと激しく体を動かしていたプログラム。かなりこのプログラムは体力の必要性はある?

坂本「振付するときからパート事に3つにわけてずっとやっていた。パート事でもしっかりやりこんで、できるようになったら余裕でできるようになったら、しっかりいいようになると思うので。そうするには体力はまだ足りないので。明日からの合宿でしっかり鍛え上げたい」

 

―今回のプログラム、ジャンプでアピールするところがあった。それこそ難しさがあるんじゃないかなと思うんですが。

坂本「本来はそうなんですが、今日はあそこまでショートを失敗してしまったので。きれいにまとめるしかないと無心になってやったので。全然、一回もジャッジは見られなかったです」

 

―シニア合宿でも目線の使い方や表情が難しいとおっしゃっていましたが。どのポイントが難しい。

坂本「ショートもフリーもかっこいい系で表情も一緒の部分はあるかと思うんですが、ショートとの違い、区別をしっかり。フリーでは微笑むというかきりっとした目線を送れるようにしようと思っています」

 

ー悔しい演技という話もありましたが、その中でも例年よりもこういうところがレベルアップできているのかなという手ごたえは?

坂本「去年までは直前までアイスショーがあったりして、そのアイスショーでもショート、フリー披露してもボロボロだったりしていたんですが、今年はアイスショーでもノーミスでできたので。アイスショーもきっちり試合に向けて練習ができたんじゃないかなと思うので。そこは去年よりも成長できた部分だと思います」

 

―女スパイということで、斬新な黒レザーの衣装ですが。

坂本「久々の長袖の衣装で(息を整え)やりにくいです」

 

―暑さは大丈夫?

<坂本「いまは死にそうなんです。氷の上にいるのに、めっちゃ、熱中症になりそうです」

 

―マトリックスの背中をそるポーズの迫力は出ていたかと思いますが、手ごたえはどうですか?

坂本「本当はもっと反りたかったんですけど、30%ぐらいしか反らなかったので。あそこで100%反っていたら、完ぺきにこけていたので。今日はセーブしてしまったので、次の試合からは100%マトリックスにしたいです」

笑顔で取材に応じながらも、途中で「暑い…」と汗をぬぐう場面もありました。


げんさん201909053位の白岩優奈選手(関西大学KFSC)のフリーは映画「AMEN」。ショートの後の会見で、「(フリーのテーマは)とらわれている自分を解放したい」と語っていました。

体調が万全ではなかったようです。
 2回目のトリプルルッツで転倒。ダブルアクセル&トゥループがセカンドジャンプでダブルになるミスがあり、フリーでは3位に。

 

 フリーを終え、率直な感想を聞かれると、

「ひとつは言い訳になるんですけど、やはり微熱があって、ベストな状態に持っていけなかったんです。試合に合わせて体調を合わせなきゃいけないというのが、新しい課題だったので(ちょっと息苦しそうにでも笑顔で)、あとは次の試合に向けて体調を万全にして。試合ができるような状態にできたらいいなと思います」

と語った表情は、ややしんどそうでした。

 

―ステップは今まで以上に上下に動く感じですが、やってみてどうですか?

白岩「えっと、練習からすごく最後の方なので、体力的にしんどいんですけど、もっとくるったようなステップができなきゃいけないなと思いました」

 

―今シーズンに向けて。

白岩「まずはしっかり休んで、また来月のUSインターナショナルクラシックに向けて、次はアクセルも入れられるように頑張っていきたいです」

 

―次の試合に向けて修正したい点は?

白岩「ショートでは70点台を狙っていけるように細かい部分を少しずつ練習していきたいなと思います。フリーでは3+3までのジャンプは飛べないジャンプじゃないと思うので、そこの確率をもっと試合で上げていけるようにしたいと思います」

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―今年のフリーは密度が濃いですが、ここにアクセルを入れたらきついんじゃないでしょうか。

白岩「練習でアクセルをやったときは最後まで体力が持たずに途中でばててしまうんですが、そこは練習を重ねていくとどんどん体力がついていくのじゃないかなと思います」

 

 フリーを終えた直後、白岩選手は横井選手から「しっかり休め」と声をかけられていました。最終順位が発表されると、横井選手、坂本選手、白岩選手はそれぞれ抱き合って、互いの健闘を称えあっていました。

 

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 表彰式では冠スポンサーである「元三フード」のゆるキャラ・げんちゃんを氷上に設置された表彰台へと笑いながら楽しそうにみんなで運んでいました。
<撮影・文 
廉屋友美乃(かどやゆみの>

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tomono120190829 シニア男子フリーは白熱した戦いとなりました。

 優勝した友野一希選手(同志社大学)と2位の山本草太選手(中京大学)。ともに2種類の4回転を入れた構成で勝負に挑みます。

 

 友野選手は冒頭の4回転トゥループ+トリプルトゥループを鮮やかに決めます。
 2.61の加点がつく出来でした。つづく4回転サルコウもお見事。こちらも加点1.70がつく出来栄えです。
 キレのあるステップ、鬼気迫るラストのコレオシークエンス、ミーシャ・ジーさん振り付けの映画『ムーラン・ルージュ』の世界をドラマチックに体現していました。

 tomono220190829 最後まで集中力がとぎれません。フリーの点数は152.92

 演技を終え、バックステージに戻ってきたときには満身創痍の様子。
 「力尽きた~」とベンチに倒れこんでいました。
 それほどまでにハードなプログラムだったのでしょう。

 息を整え、囲み取材では落ち着いて話を始めました。

 

―優勝おめでとうございます。今の気持ちをお聞かせください。

友野「今年も家族がすき焼きセットを用意して待っているので、ちゃんと持って帰れて良かったなと思います。試合の内容については…、今回は集中力だけで乗り切ったかなという感じで、まだまだ後半の練習はまったく足りてなかったですし、コンビネーションも全部使えてないので。このままシーズンを迎えると話にならないなと思うので。でも4回転だけに絞ると去年よりは少しは成長したのかなと思いますし。集中力の持って行き方は、まだ初戦なのでわからないんですけど、練習をした上で、試合で挑んで集中をどう持って行くか。昨シーズンを踏まえながら少しずつ着実に成長していけているのではないかと思います」

 

―去年よりも確実に進化した点は?

友野「確実に4回転と今日は全然、疲れて動けていなかったんですが、フリーレッグとか少しプログラムに関しては大きく見えるかなと自分でも思っていますし、まわりからもフリーレッグはきれいになったねと言ってもらえるようにはなったので。今日はそこまで神経は行き届いていなかったんですけど、ショートはしっかりできたかなと。体力の方はまだまだなんですけど、細かい部分と練習してきたことはステップ、スピンはちょっとバテて、できなかったですけど、技術としてはどんどんあがっているので、あとはプログラムに試合で入らないと意味がないので、試合で体力に余裕を持って滑れるようにエレメンツとひとつひとつの要素をこなせるようにしていかないとならないですし、練習してきたことを試合で出せるようにこの先、プログラムの練習を重ねていかないといけないなと思います」

 

―ミーシャ・ジーさんが振り付けしたこのプログラムは曲調が変わるところがあって、難しいところがあると思います。

友野「強弱ははっきりしていて、僕的には演じやすいですし、見ている側もすごい入り込みやすいかなと思うので。最初は“ん?”と思ったんですけど、すごい聞いているうちに僕はこの編集を気に入っていて、最後はしっかり盛り上がって終わるので、そこをバテないようにしっかり体力面を強化したいと思います」

 

―ショート、フリーの仕上がりは?

友野「まだ冗談抜きで15%ぐらいです。このプログラムをやりきることで精一杯っていうだけで大問題なので、この時期はまだまだ仕上がってないのが毎年そうなんですけど、昨シーズンに比べるとまだ、全体の完成度としてはまだ国際試合に出られるような状態ではないので。練習を濃くしていかないといけないなと思います」

 

―新しいシーズンに向けて意気込みを。

友野「自分が目標としていた4回転トゥループは初めて試合で、(首をかしげて)あれ? 飛ぶことができたので、そこは素直に飛んだ瞬間はうれしかったですし、集中して試合に挑めたのは、初戦にしてはいい収穫だなと思いましたし、結果的に良いスタートが切れたんじゃないかなと思います。草太は4回転3本、フリーで入れているので、僕はまだまだ3本はわかりませんが、練習していくうちに4回転を増やしていければいいなと思います。彼も次の試合ではしっかりとやってくると思うので、負けられないという気持ちで、僕としては上に目を向けて、練習していかないといけないなと今回の試合で思いました」

 

―今回のシーズンの具体的な目標は?

友野「昨シーズン果たせなかったもの。グランプリファイナルに出て、世界選手権出て、小さなメダルじゃなくて、もっと大きなメダルを取るというのが僕の中の最終的な目標ですし、正直まだ届く実力ではないで、それを目標に11日目標を立てて、ひとつひとつクリアしていくことが今シーズンの目標で、昨シーズン悔しかったことをしっかりはらすのが目標です」

 

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 2位の山本草太選手は冒頭の4回転サルコウがダブルになるミスがありました。そのあとの4回転トゥループ+トリプルトゥループのコンビネーション、単独の4回転トゥループは成功。
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 持前の美しいスケーティングで観客をひきつけます。souta20190829


 


 












 長い手足を生かした壮大なフリーのプログラムはパスカーレ・カメレンゴさん振り付けの「In This Shirt」。


 フィニッシュを決める山本選手。

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 フリー後、汗だくで囲み取材に応じました。

 

―ケガがあって、それを乗り越えて複数の4回転が飛べるようになってきたことについて。現在の状態はどうですか?

山本「最近では大きなけがはないんですが、ちょこちょこ傷めたりはしますが、休んだら、練習できる程度ですし、しっかり練習できているほうなので、うーん、頑張ります」

 

―このフリーで伝えたいことは?

山本「強化合宿もやってみて、いろんな方々にアドバイスをして頂いて。最後のステップでしっかりと盛り上げるような曲調でもありますし、そういうステップを組んでもらっていて、苦しさだったり、そういうものを表現できたらいいんじゃないとアドバイスを頂いたので、そういうふう表現できたらいいなと思います。体力が、いつもより、今日は、そういうふうに表現できるものではなかったので、そういうところも強化していきたいと思います」

 

―現在の仕上がり具合は?

山本「うーん、そうですね。前はやっぱり結局、今は4回転が難しいんですよ。それがなかった分、スケーティングとスピンに気を配れていた。自分が上手だったというよりは、簡単な構成だったからいい演技ができたと思っています。こうやってジャンプを入れて、難しいものをやって、いい演技ができないと自分の力ではないかと思っています。今、4回転は3本なので、その構成でスピンとかステップをしっかりやっていきたいと思っています」

 

―練習していて、この調子でやればチャレンジャーシリーズぐらいまでには仕上がりそうですか?

山本「こうやってサマーカップでしっかり感覚を確かめられたので、この経験を踏まえて、次からはこんな演技はできないと思っているので、しっかり戦うために頑張ります」

 

 流れる汗を何度もジャンパーで拭っています。それだけ激しい戦いだったことを物語っていました。 

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 3
位の山隈太一朗選手(明治大学)は冒頭のサルコウが抜けてしまいましたが、次のトリプルアクセル+ダブルトゥループを決め、会場を沸かせました。

 

 ミッシェル・ポルナレフの曲に合わせ、177cmの高身長を生かしたスケール感のあるプログラムを披露しました。振り付けは宮本賢二さんです。

taichi20190829

 

 














 山隈
選手は今年、明治大学に進学。関西から東京に拠点を移し、新しい生活をスタートさせました。現在は重松直樹コーチのもとで技術を磨いています。

 今大会を振り返り、課題が多く見つかったと言います。

 

―プログラム自体まだ調整中?

山隈「滑り込みがなかなか滑りきれなくて。部分、部分では滑り込めても、なかなか1曲通しては滑りこみができていなかったので。そこが結構、明確に出てしまった。演技の前半部分はまだ大丈夫だったんですけど、後半から体力的な限界があって、意識がもうろうとしながら帰ってきたので。1曲通しての滑り込みと体力がまだまだなので、そこは今からなおしていかないといけないなと思います」

 

―仕上がりが遅れた一番の理由は?

山隈「靴の部分だったり、体調不良だったり。言い訳になってしまうんですけど、新生活に慣れるまで時間がかかってしまったので、集中して打ち込もうと思っています。危機感をこの試合で持てたので、夏休みは滑り込んでいきたいです」

 

 表彰式のあと、山隈選手とほんの少しだけ話す機会がありました。taichi0320190829

























 







―その髪型素敵ですよ。よく似合っています。

山隈「ありがとうございます。僕、実は天然パーマなんです。だから伸びるとくるくるとするんです」

 

―ショートで演じられた映画「君の名前で僕を呼んで」の主人公の少年役のティモシー・シャラメみたいですね。

山隈「ほんとですか? このままでいこうかな()

 

 腰が低く、好青年を絵にかいたような山隈選手。
 ファンから「新生活はどうですか?」と聞かれると、「主婦しています」と日々の生活の中で、きちんと家事をしていることも明かしてくれました。

 
 7位の中野紘輔選手(福岡大学)は今シーズンで引退することを表明。フリーの「ポエタ」では壮大なイーグルと激しいステップでプログラムを盛り上げました。nakanokousuke20190829

















 10位の山田耕新選手(SMBC)のフリーは「ゴッドファーザー」。表情ひとつひとつで見せ場を作り、哀愁漂う男を演じました。

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 5
位の木科雄登選手(金光学園)は転倒しましたが、4回転トゥループに挑戦しました。

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競技結果

1位 友野一希(同志社大学)  ポイント226.25(SP1位 FS1)

2位 山本草太(中京大学)   ポイント207.68(SP2位 FS2位)

3位 山隈太一朗 (明治大学)  ポイント168.69(SP3位 FS5位)

4位 石塚玲雄(早稲田大学)  ポイント161.75(SP9位 FS3位)

5位 木科雄登(金光学園)   ポイント 159.70(SP4位 FS7位)

6位 時國隼輔(同志社大学)   ポイント159.45(SP10位 FS4位)

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<撮影・文 廉屋友美乃(かどやゆみの)>

















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 ジュニア男子は須本光希選手(関西大学)が制しました。 

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 フリー「ミ・マンケライ」。滑らかなスケーティングと柔らかな指の動きで物語を表現しています。

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 フリー後の囲み取材では、自身の演技をこう振り返りました。

 ―アクセル2本のあとはしっかりジャンプが決まりました。

須本「うーん、練習でもアクセルと4回転はほとんどミスがない状態で。ちょっと構成を落としてはいるんですが、試合で練習通りのことができたというのは自分にとっては良かったかなと」

 

―この試合が終わったらシニアへということですが。この経験をどう生かしていきたいですか?

須本「シニアに行けば守るものはないので、しっかり4回転1本でなく複数プログラムに入れられるようにしっかり持っていきたいです」

 

―一番高めたいのは?

須本「シニアの選手を見て勉強をして、今自分の演技をあとで見返したら、やっぱりジュニアの滑りと思ってしまう部分があるので。シニアの滑りにするのが一番です。それに4回転を。練習では降りているんですが、本番で入れないと意味がないので。しっかりもっと確率をほぼ100%になるようにしたいです」

 

―この大会、優勝したらお肉がもらえますが。

須本「お肉も狙ってなかったといえばうそになりますが、あまり今年は考えてなくて。今回、出られなかったですけど、壷井(達也)選手(中京大中京高校)ともう一度戦いたいというので、ジュニアで出ることを決めたので。そこは悔しかったですけど、結果は良かったかなと思います」

 

―チャレンジャーシリーズまでシニアに専念するということですが、どんな練習をしていきたいですか?

須本「やはり体力面というか体作りを一番重要視して、それプラスアクセルと4回転を複数飛べるようにしたいです」

 

―いまメドがたっているのは(4回転)トゥループ?

須本「練習ではいい感じなんですけど、他はまだちょっとかかるかなという感じで、しっかり練習していきたいです」

 

―トゥループ以外の4回転の練習は?

須本「調子が良ければフリップとループとサルコウ。ルッツをやりたいんですが、トリプルが崩れやすく、4回転だとわからなくなってしまうので、ルッツはもっと後で。ループとサルコウを結構やっているので、そこはもっとやっていきたいと思います」

 

―チャレンジャーシリーズは初めてのシニアでの参戦となります。

須本「去年、アジアンオープンはシニアでしたが、本当に悔しい思いをして。そんなに順位になると思って試合に行かなかったので、余計悔しい思いをしたので、今回は守るものは何もないので、しっかりショートもフリーもせめていきたいと思います」

 

今大会前、仙台で調整を行っていました。

「プログラムの手直しではなく、(振り付けも担当している)阿部奈々美先生の強化練習が3日間あったんです。体力づくりのためにおいでと言って下さり、仙台に行きました」須本選手)

 須本選手、大会ではトリプルアクセルを決めていました。が、股関節に不具合があり、実は本調子ではなかったそう。

「アクセルは全然大丈夫なんですけど、トゥループ、締められるのはしめられるんですけど。片足でこけたときがダメになるので。CSシリーズも選んでいただいたので、それまでに1ヶ月ちょいですが、トレーニングをちゃんとして、負担かかってもケガをしないようにしていきたいです」須本選手)


 2位の三宅星南選手(岡山理大附高校)は転倒したものの、4回転サルコウに挑戦。吉野晃平さん振り付けの「ラストサムライ」をダイナミックなジャンプと力強いステップで演じ切りました。

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「うーん、内容がボロボロだったので。ミスがたくさんあったんですけど、シーズン初戦でいい経験ができてよかったと思います」三宅選手)

 

―以前は練習でできていることが試合でできないということでしたが、シーズン初戦で気負いました?

三宅「なかなか調整がうまく行ってない中で、思い切ってできたので、そこは良かったかなと思いますし、そこはどんどん試合が始まっていくまでには調整していきたいと思います。去年とはちょっと試合に対するメンタルが違う風に持っていけたので、練習でも結果が出せるのかなと思います」

 

―調整遅れはあった?

三宅「靴もあったんですが、まあ、まだシーズン頭でなかなかジャンプが安定しないので、そこは自分のせいかなと思っています」

 

―今回のショートもフリーもシニアらしい感じですが、意識を変えた?

三宅「意識が変わったわけではないんですが、去年より大人っぽく滑りたいなという思いますし、ショートも大人っぽい曲なので、そこは変わってきたかなと思います」

 

―今後、シニアで戦っていくためにどういうふうに考えていますか?

三宅「ステップの正確さや、上半身の状態も必要ですし、安定してスピード。シニアの大会、今回見てもスケーティングの推しの強さが全然違ったので、そこはもっともっと体力面もスケーティング技術もあげていかないといけないと思います」

 

 3位には京都両洋高校の森口澄士選手。
 冒頭のトリプルアクセルは、2.20の加点がつきました。
 11052点を獲得し、フリー2位で総合3位です。

 森口選手、記者に囲まれての取材は初めてだったため、表彰式後の囲み取材では「初めてなので緊張しています」とつぶやいていました。

 

―トリプルアクセルのクオリティがすごく高かったのですが、前から得意でしたか?

「今シーズンになってから、確率もあがってきて、練習では入るんですけど、ちょっと自分の得意というかいい高さを生かして、飛べるようになりました」

 

―トリプルアクセルですが、今年からクオリティが高いものができるようになった?

「ずっと挑戦はしているんですが、ステッピングアウトとか転ぶことが多かったんですが今日のフリーで入ることができたので、自分でも喜んでいます」

 

―自分の持ち味は?

「ジャンプの高さです」

 

―これを直していきたいところは?

「後半の体力はスピードです。疲れて自分の滑りが出せなくなっていく課題は前からあるので。体力づくりは頑張って向上していきたいです」

 

―今日の率直な感想を。

「決まったのがトリプルアクセルのみですが、目標としていた表彰台に上がれてうれしいです」


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競技結果

1位 須本光希(関西大学)      ポイント208.04(SP1位 FS1位)

2位 三宅星南(岡山理大附高校)   ポイント169.68(SP2位 FS7位)

3位 森口澄士(京都両洋高校)    ポイント167.61(SP6位 FS2

4位 杉山匠海(就実学園)      ポイント162.48(SP5位 FS4位)

5位 吉岡希(アクアピアスケーティング


 表彰式では多くのファンが集まり、カメラのレンズがくもったほど熱気にあふれていました。
<撮影・文 
廉屋友美乃(かどやゆみの)>


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823日~25日、ダイドードリンコ・アイスアリーナ(東京都西東京市東伏見)で開催された2019東京夏季フィギュアスケート競技大会の取材に行ってまいりました。

 

競技種目は男子女子の初級、1級、2級、6級クラスからノービスA、ノービスB、ジュニア、シニアまで。ノービスとシニアのアイスダンスやシンクロのジュベナイル(半分以上が13歳以下でノービスよりさらに下の年代)、ジュニアチームの演技も見ることができます。入場料は1000円(小学生は無料)。

 

会場では選手たちがアップしている様子や出場選手たちが仲間たちの応援をしている姿を見ることができます。

 

永井優香選手(早稲田大学)や佐藤伊吹選手(明治大学)、鎌田英嗣選手(明治大学)、石塚玲雄選手(早稲田大学)らの演技を間近で見ることができます。またジュニア、ノービスでは将来有望な選手をこの目で発掘できるので、スケートファンにはまさに”青田買い“ができる大会でもあります。

 

今回、ひときわ目を引いたのがノービスB男子で優勝した西武東伏見FSCの中田璃士(なかたりお)選手です。

 ruri20190827 同クラブの中田誠人コーチを父に持ち、2018年全日本ノービスBで3位に入った実力。
 UKロックの音楽にあわせて、衣装もユニオンジャック。いきなりトリプルトゥ―ループ+ダブルトゥループ+ダブルトゥループの3連続を決め、会場を沸かせます。
 ダブルアクセルも安定感があり、高さ、スピードも文句のつけようがありません。
7861点の高得点をマーク。
 点数が出ると会場からは「おー」と歓声があがり、「まるでジュニア、いやシニアのようなジャンプ」とファンから感想がもれるほどでした。

 中田選手自身も78点台はびっくりした」と予想以上の点数に驚いた様子。

「前回の飯塚杯で69.59点ともう少しで70点だったんですけど、ルッツとかで転倒してしまって。あれが悔しくて、あれ(転倒してしまったルッツ)をずっと練習していました


 ノービスB女子で優勝した島田麻央選手(明治神宮外苑FSC)。思いきりの良さと着氷後もスピードが落ちない流れのあるジャンプが持ち味。

 冒頭からトリプルルッツ+ダブルトゥループ+ダブルループの三連続ジャンプを決め、得意のレイバックスピンではレベル4をゲット。武田奈也さん振り付けの「スワン・レイク」をみずみずしく軽やかに演じていました。点数は83.05点。
maoshimada20190827普段よりあまりよくなかったので。いつもやっているときより良くなかったです。スピードとかジャンプの前にゆるめてしまったところです」と反省する点もあったという島田選手。「普段の練習からスピードを出して、思いっきりジャンプを飛んでいる」
 見せ場はジャンプ以外にもスピン。レベル4をとったレイバックスピンについては、

「ビールマンスピンが得意なので、最後に入れているから見て欲しいです」
 とにこやかに語っていました。

 

















 ジュニア男子は2度の骨折を克服して復活を遂げた堀義正選手(新渡戸文化中高SC)に注目です。 ショート、フリーともにトリプルアクセルを成功させました。
 フリーではトリプルルッツで転倒、フリップ、ループもダブルとなるミス。とはいえ、トリプルアクセルは高さ、幅ともに素晴らしく、フリーの点数は85.08。ショートの57.23と合わせて、142.31点で優勝しました。

 フリー後、ルッツで転倒したことについて、次のように振り返りました。

「ルッツこけたのが久しぶりで、予期せぬ失敗があったときに備えて、もうちょっと気持ちを整理させられるように練習を取り組まないといけないという明確な目標ができました」

 ショートはの曲は映画「カイジ 人生逆転ゲーム」、フリーは「チャイルド・オブ・ナザレ」。

 町田樹さんを尊敬しているスケーターとしてあげている選手です。
 フリー前のウォーミングアップではこんなことを明かしてくれました。

「アップの時に自分のプログラムを踊らずに町田樹さんのプログラム『火の鳥』を踊っていました。『エデンの東』も好きなんですけど、『火の鳥』が大好きなんで。自分の試合前に踊っていました。体が温まるので」

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 ジュニア女子はTzuHan Ting選手(台湾)がショート2位から逆転優勝。フリーで決めたダブルアクセル+トリプルトゥループ+ダブルトゥループのほか、いずれのジャンプの質が高く、スピンもスピードがあります。演技をもっと見ていたいと思わせる魅力あふれる選手でした。
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 シニア女子は永井優香選手がショート1位で通過しましたが、フリーでジャンプが抜けてしまうミスが相次ぎ、2位に。

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 優勝は佐藤伊吹選手(明治大学)でした。いくつかのジャンプが回転不足をとられてしまいましたが、フリーの「アランフェス協奏曲」を情感たっぷりに演じました。

えええ 全体的に落ち着いた様子でしたが、6分間練習では思うようにジャンプが決まらず、気持ちに余裕がなかったとも明かしてくれました。

6分間練習でルッツとかにミスがあって本番前、すごく緊張していたんですが、練習をちゃんとしてきたつもりなので、それが自信になったかなと思いました。最初の3-3を決め、安心できました」

 普段の練習を思い浮かべ、気持ちを切り替えられたようです。

フリーの振り付けについてはこんな見どころがあると佐藤選手は言います。

「フラメンコっぽい動きが入っているから、大人っぽさが出せればいいなと思っています」

 

 

 



 









 シニア男子は鎌田英嗣選手(明治大学)が制しました。

 kamata20190827 フリーでは冒頭のトリプルアクセルは転倒。スピン、ステップ、コレオシークエンスで『仮面の男』をドラマティックに表現し、会場を魅了しました。

 トリプルアクセルの転倒については、

「踏み切り損ねてどちらかといえばパンクになりそうなものを無理やり回してみたという感じだったので、危なかったというか、最悪だったという感じです」

 と冷静に振り返ります。さらにフリーの出来については次のように分析しました。

「今日は自分としての出来はあまりよくなかったのですが、点数は思ったより出して頂きました。まだまだ伸びしろは、たくさんあると思うので、最低限、ジャンプのランクは抑えられたのかなという印象です。映像で見たらわかりませんが、いいジャンプは一個あったぐらいなので、自分ではもうちょっといいジャンプは飛べたよなっていう感じです」

 まだ伸びしろがあると力強く語ってくれた鎌田選手。次なるステージに向け、さらなる進化に期待です。

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  シニア男子2位は石塚玲雄選手(早稲田大学)。ルッツとフリップが抜けてしまったのは残念でしたが、伸びのあるスケーティングと重厚なステップ、最後のスピンは美しく圧巻。フリーは105.93点で1位でした。































 
 アイスダンスシニアの枝村優花&嶋崎大暉組のリズムダンス『シカゴ』。大学生カップルが生み出す世界観はしっとりとあでやかで、まるでミュージカルを見ているよう。スケーティングにスピード感があり、エッジも深く、二人の息もぴったり。

 振り付けは1980年アイスダンス五輪金メダリストのナタリア・リニチュクさん2006年トリノオリンピックアイスダンス代表の渡辺心さんと木戸章之さんの元コーチでもあります。

 ナタリアさんからも指導を受け、嶋崎選手いわく、「別次元の教え方」だそう。日本のアイスダンス競技においても今後が楽しみなカップルです。

edamura20190827

















  
華やかかつキュートな演技で会場を虜にしたのはシンクロチームです。大勢のスケーターがシンクロさせてスケートをする様子はまさに様式美。見ていてうっとりしてしまいます。

神宮Ice Messengers Juvenilejingusnkuro


 
















 ジュニアは12歳以上~19歳未満の選手たちで構成され、公式大会では1チーム16人の編成で出場できます。しかし現状ではその人数になかなか達することができず、神宮Ice Messengers Juniorも現在は14人編成。

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 夏季フィギュアでも愛らしく息の合った演技を見せてくれました。彼女たちが演じるのはアメリカのコメディ映画『ホーム・アローン』。コメディ映画の世界観は冒頭の振り付けから感じ取ることができます。メンバーの一人大橋きくの選手はそのこだわりについて次のように説明してくれました。


最初は寝ていたところから起きて、伸びをしてまた寝る。だから寝ているポーズから伸びをするんです。次に最初のサークルでは泥棒が入ってきた怪しい雰囲気を、また(主人公の男の子。当時、10歳のマコーレー・カルキンが演じた)ケビンと泥棒が追いかけっこをして、捕まえられそうだけど、捕まえられないところみたいな場面を見て欲しいです。最後はお母さんと再会してやっと会えたみたいな安心感を表現しています」

 
 もっとシンクロの競技人口が増え、たくさんのチームの演技が見られることを願うばかり。

 ノービスの中から将来楽しみな選手を発掘するのも、ジュニアのはつらつとした演技を見るのも、シニアの洗練された表現力を見るのもまた楽し。
 試合特有の緊張感がありながら、どこかお祭りのようなワクワク感もあり、フィギュアスケートの魅力を改めて肌で感じる3日間となりました。

 

 後日、大会期間中に話を聞いた選手たちの声をお届けいたします。お楽しみに。<撮影・文 廉屋友美乃(かどやゆみの)>


mixiチェック

 ジュニア女子の勝敗は高難度のジャンプを盛り込んだ構成がカギとなりました。
 とりわけ、ジュニア女子にはトリプルアクセルを普段から練習している選手は多数います。


ショートの後、1本目のコンビネーションにトリプルアクセルを入れる」と宣言していた横井きな結選手(邦和スポーツランド)がコンビネーションでトリプルアクセルを見事着氷しました。
 セカンドのダブルトゥループは両足。その後はややジャンプが乱れ、ステップシークエンスで転倒するミスも。しかし、最後まで攻めの姿勢は崩しませんでした。

 

 そしてショート8位だった吉田陽菜選手(名東FSC)は冒頭でトリプルアクセルを見事成功。クリーンなジャンプで1.28の加点がつきました。hina20190836

 試合後は4自分の演技に満足できていない様子。

「アクセルが決まったのはうれしいんですけど、コンビネーションでトリプルトゥを付けられなかったり、コンビネーションが足りなかったりして、そこは悔しいです」
最後、トリプルルッツ+ダブルトゥでリカバリーをしたかった?

「あそこはダブルトゥでも良かったんですが、ルッツは悪くなったんで、トリプルをつけたかったんですけど、体力的なことがあって、最後にトリプルトゥをつけられなかったのは残念です」

 リカバリーしようと思ったのは普段の練習からなのか、それともちょっと攻めようかなと思ったのかどちら?

吉田「練習でもルッツにつけることは何回かあって。最後にトリプルトゥをつけることもあったし、ダブルトゥになっちゃうこともあったんですが、一応、頑張って攻めて飛びたいなという気持ちがあって。そこはもっと練習しないといけないと思いました」

 

―アクセルはきれいだったかなと思いますが、出来としてはいかがですか?

吉田「緊張して覚えてなかったんですが、高さも低くなかったし、回転も軸は良かったので、降りられたのでそれはうれしかったんですけど。悔しいジャンプもあったのでもっと質があげられるように頑張りたいです」

 

ー試合でアクセルが決まるのはどうですか?

吉田「いまはみんなアクセルも飛んでいるし、今回はシニアでもアクセルに挑戦する子が何人もいるので、これからトリプルアクセルは当たり前になってくるので、2本入れるようにしたり、加点がつくアクセルを飛ばないといけないと思いました」

 

―サマーカップで達成したいことはどれぐらい達成できました?

吉田「一番はアクセルを降りたい気持ちがあったので、うれしかったですけど、そのあとミスが出てしまったので、自分では50点ぐらい」

 

―この先、今日の経験をどう生かしたいですか?

吉田「アクセルは試合でも確率良く降りられるようになってきたので、他のジャンプもクリーンにして、リカバリーも失敗しなくてもいろんなところでつけてみたりして、全日本ジュニアでちゃんと自分の演技ができるようにしたいです」

 フリーは10483点で3位に。8位からの巻き返しで表彰台入りを果たしました。

 

 ショート3位の住吉りをん選手(駒場学園高校)はトリプルフリップ+トリプルトゥループのセカンドジャンプでステップアウト。後半でダブルアクセル+トリプルトゥループ+ダブルトゥループ、トリプルサルコウ+ダブルトゥループのセカンドでタノジャンプ。とりわけレイバックスピンとフライングキャメルスピンが美しく、映画『ロシュフォールの恋人たち』の音楽に合わせて、コケティッシュな魅力を打ち出した演技で会場を魅了しました。

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 フリーはトリプルフリップがダブルになるなどジャンプのミスはあったものの、106.242位に。

 

 優勝は7月に行われた邦和スポーツランド杯でも優勝した松生理乃選手(グランプリ東海クラブ)。

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 指先まで神経の行き届いた動きでした。
 後半にトリプルルッツ+トリプルトゥループ+ダブルトゥループ、トリプルフリップ+トリプルトゥループ、トリプルループ+ダブルトゥループと3つのコンビネーションを入れた攻めの構成。
 スピンもレベル4と完成度の高い演技でショート、フリーとも1位に。
 本人もミスなく終えられ、ホッとしていました。

 

―優勝おめでとうございます。

松生「フリーも大きなミスをすることなく、ショートとノーミスをそろえられて優勝もできてすごくうれしいです」

 

―後半、すべてコンビネーションジャンプというすごい演技でした。

松生「後半に3つコンビネーションだったら、1つ失敗したらつけられなくなるので、そこは緊張するところだったんですが、落ち着いてできたし、失敗しなくてよかったです」

 

ーこの優勝をどう生かしたいですか?

松生「自信を持って演技ができるようになったので、演技の中でももう少し自信があるのが見えるようになりたい」

 

―この大会優勝すると近江牛がもらえますが、どうやって食べますか?

松生「わからない(笑い)。お肉は大好きです」

 

―今回の大会では自分がどのぐらいの位置にいくのか見たいとおっしゃっていましたが。

松生「ノーミスができて、良い点数がとれたからというのもありますが、もっともっと点数を出せるようになって、海外の試合でもいい位置にいけるように」

 

―ジュニアグランプリが間近に迫ってきていますが、今の心境は?

松生「海外の試合は初めてなので、そこで硬くならずに自分をアピールすることができたらいいなと思います」

 

――後半に全部、コンビネーションを入れているのは?

松生「ひとつでも多く点数を取りに行かなくてはいけないので。後半に入れて、少しでも、でも失敗したら点数は低くなるので。そこは先生が後半に入れようといったので、練習でも失敗しないように練習してきて。これからも後半に入れていきたいです」

 

―もっと点数をあげていきたいということですが、点数的にはマックスに近いのではないかと思いますが、この先、加点をもらうのはどこですか?

松生「やっぱりステップだったり、普通にクロスをしているだけでも、姿勢を気を付けるだけでだいぶ違ってくると思うので、基礎の部分もきれいに見えるようにして、点数をあげれたらいいなと思います」

 

―(師事する樋口)美穂子先生に褒められた?

松生「邦和杯よりも点数が低くなったので。“ま、いっか”みたいなみたいな(笑い)」

 

―邦和杯の優勝が自信になっているのでは。

松生「邦和杯も優勝できるとは思っていなかったので、そこで優勝できたのは自信につながったと思います」

 

  ショート2位の本田望結選手(関西大学中・高スケート部)は本番前、バックステージでイヤホンをしながら、気持ちを高めていました。
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 ジャンプの回転不足は取られましたが、エモーショナルな演技でさすがは女優! 動
 きのひとつひとつが美しく、どこをとっても絵になりました。
 フリーは8位でしたが、最終結果は6位に。

 

 









 手嶋里佳選手(名東FSC)はショート7位からフリーで巻き返し4位に。
 ダブルアクセルがシングル、後半のトリプルフリップにつけるトゥループがシングルになるなどのミスがありました。
 が、エキゾチックな雰囲気のプログラムを見事にこなしていました。

 

―フリーを振り返っていかがですか?

手嶋「足がもつれちゃって、スピンとかはレベルがとれてないのでそこは良くないと思いました」

 

―調子が良くなかった?

手嶋「うーん(首をかしげながら、少し考えて)普通」

 

―今回のフリーはどんな手ごたえ?

手嶋「特にないです」

 

―もっと良くしたかったところとかありますか?

手嶋「うんと、うーん」

 

―まだ整理できてない?

手嶋「はい」

 

ー良くなかったところは?

手嶋「勢いよくジャンプとかいけなかったところです」

 

―今回のサマーカップで達成したいことは?

手嶋「うーん、目標はなかったので。そんなには…」

 

―今回の大会の経験はどういうふうに生かしていきたい?

手嶋「ジュニアの試合は上手な人しかいないので。みんなのいいところをいっぱい見て、学べたらいいなと思います」

 

 少しシャイな手嶋選手。身長が伸び、大人っぽい表現力に磨きがかかり、今後が楽しみです。

 

ジュニア女子の最終結果は以下の通りです。

1位 松生理乃(グランプリ東海クラブ)   ポイント 184.95

2位 住吉りをん(駒場学園高校)      ポイント 160.51

3位 吉田陽菜(名東FSC)        ポイント 154.77

4位 手嶋里佳(名東FSC)        ポイント 145.68

5位 岡本真輪(倉敷FSC)        ポイント 140.53

6位 本田望結(関西大学中・高スケート部) ポイント 139.18

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 表彰式の前、ジュニア女子選手たちはおしゃべりに花が咲き、キャッキャと楽しそうにしていました。

 

 注目のジュニア女子選手たちの声は後日、番外編でお届けします。


<撮影・文 廉屋友美乃(かどやゆみの)>





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<ジュニア男子>

 ジュニア男子は将来が楽しみな選手が続々登場しました。54.12点でショート8位の中村俊介選手(関西大学KFSC)は見事、トリプルアクセルを成功。3+3がつけられませんでしたが、ショートの「アストゥリアス」の完成度は素晴らしい出来栄えでした。

 トリプルアクセルを着氷できたことについて、安堵の表情を浮かべながらも、

「アクセルはまず降りられて良かったです。ジャンプでバランス崩したりで、きちんとレベルが足りなかったのが悔しかったです」

 と胸の内はやはり悔しい様子。トリプルアクセルの完成度については、

「いつもは1日に一本飛べるかどうかですが、試合の方が飛べているかなと思います」

と冷静に我が身を振り返っていました。

 

 ショート2位で折り返した三宅星南選手(岡山理大附属高校)はトリプルアクセル、トリプルルッツ+トリプルトゥループ、トリプルループとジャンプを決め、ホッとした様子。点数は70.41でした。

—ショートを終えての感想は?

三宅「初めての披露で緊張したのですが、最後まで力を込めて滑ることができたので、良かったです」

—あまり緊張してないように見えたのですが。

三宅「緊張していたので、なかなかジャンプのリズムが掴めなかったんですが、一番滑走だったので、落ち着くためにも早い段階からジャンプをやめて、滑っていて、気持ちを落ち着けられたから良かったかなと思います」

—ショートの見所は?

三宅「ステップが面白いですし、原曲と違うアレンジが入っているので、これは自分で滑っていて楽しいです。最初の振りが結構、今まではジャンプにすぐ行っていたんですが、結構、踊る時間が長いということで、最後のところも自分の中では好きなところです」

—新シーズンに向けてどういうところを評価してもらいたいですか?

三宅「新しくシーズンが始まって4回転の種類を増やしたいのと、メンタルを強化していきたいです。4回転は今、東の子たちがたくさんの種類を飛んでいるので、僕も負けないようにちょっとずつ増やしていきたいです。4回転サルコウは飛べる回数は去年に比べたら、断然多くなって来たので、試合の中で飛べて、次のトゥループも飛べるようになりたいです」

—シーズンの始まりで70点台に乗せられましたが。

三宅「去年、なかなか70点台に乗せられなかったので、今回70点台乗せられて良かったです」

 

  三宅選手と同じ第5グループでひときわ存在感を示していたのが吉岡希選手(アクアピアスケーティングクラブ)でした。6分間練習でもスピード感あるスケーティングを披露し、目が離せません。

 そしてショートで滑った曲は『Art On Ice』。冒頭のトリプルアクセルはスピード、流れともあり、スピンも滑らか。コンビネーションのルッツはダブルになりましたが、セカンドにトリプルトゥループをしっかりつけ、60.21点でショート4位につけました。

 昨年に比べると、練習する時間も増え、アクセルが成功する確率も高くなったとか。

「ジャンプも練習でもしっかり、確率もアクセルとか上がっていて。スピンも練習する時間が上がっていて。ポジションも膝も綺麗に、その辺はよくなったところだと思います。ルッツやフリップが苦手で、そのへんは確率を上げてシーズンに持っていきたい」

と試合後、力強く語っていました。

 

 エレガントな雰囲気とシャープなスケーティング、柔らかな着氷に定評のある片伊勢武選手(神戸FSC)ですが、コンビネーションジャンプのトリプルフリップがシングルになるなどミスが響き14位スタート。しかしタキシード姿で映画「海の上のピアニスト」をまるで演奏するかのように演じ、観客を引き込みました。

 

 選手のコメントをとるミックスゾーンの横では出場を待つ選手たちの姿も垣間見られます。シニア男子に出場する山本草太選手(中京大学)は走り込んでアップをしていました。ジュニア男子の須本光希選手(関西大学)はベンチに座って、集中力を高めています。その姿はまるでボクサーのよう。リンクに向かう前の選手の孤独さを物語っていました。

 

 ジュニア男子ショート1位の須本選手は、この大会のみジュニアで参戦。前の週はシニアで、今後の大会はシニアでの参戦です。スピンにミスはありましたが、ジャンプは3本も美しく決まり、スピードが落ちないスケーティングは圧巻でした。

 さて、今回、なぜジュニア参戦だったのか。真相をショートの囲み取材で説明しました。

—プログラムを通じてハードそうだなと思いました。

須本「今まで自分がやって来たプログラムからいうと、しんどさも全然違います。振り付けしてもらった時よりしんどさは少ないので、まだ動き足りないかなと。去年まで飛べていたものが飛べなくなっていて、練習の前だったり、1日の空いている時間で走りこみは今年、入ってはじめました」

—シニア男子でもジュニア男子でもレベルが上がっていると思いますが、それに関しては?

須本「(次の)オリンピックと思っているので、それまでに今は絶対に届かないと思うんですが、4回転をしっかり飛べるものを増やして、プログラムにも試合にも入れられるようにしたい」

—明日への意気込み。

須本「順位や点数は気にせず、しっかりこれまで、先週試合がありましたが、それよりいい演技ができるように自分ができることをしっかりやろうと思います」

—今回、ジュニアですが、なぜジュニアに出ようかなと思った?

須本「先週飯塚杯がシニアであって、今回、サマーカップはジュニアで結構、不思議に思われた方も多いかと思いますが、国際大会はシニアに上がろうかと思うんですが、国内、世界ジュニアを考えると、全日本ジュニア…、シニアだと全日本一発勝負、ひと枠しかないけれど、でもジュニアだと2回チャンスがある。難しい状況ですが、今シーズン、課題がループとスピンがフライングシットとキャメルで。自分が一番苦手としているジャンプとスピンですけど点数ももうちょっと出したかったなという気持ちで。シニアの方が縛りなくできると今回わかったので、シニアに上がろうかなと思っています」

—少し前までは全日本ジュニアも視野に入れていた?

須本「はい、全日本ジュニアで優勝した年の次に全日本ジュニアで落ちてしまって。リベンジしたい気持ちもありますが、まず全日本に行かないと話にならないので、全日本で最終グループを目標に滑りたいです」

—今回、滑って、シニアで勝負しようと。今回がジュニアの最後の試合になると思いますが。

須本「明日はジュニアでやってこなかった4回転をやる予定なので、しっかりこの後、時間があればシニアの選手の試合を見て、勉強できるところは勉強して。明日は自分ができることをしっかりやりたいです」

—この時期までジュニアかシニアか悩んだのは世界ジュニアがあるから?

須本「世界ジュニアより、全日本ジュニアで逃げたくないという気持ちが、去年全日本ジュニアが終わった時からあって。今まで考えたんですが、今大会で素直にシニアに上がりますと言えるようになったかなと」

—ジュニア、シニア両方プログラムの準備したことで、色々とできるようしている?

須本「できるようにしていますし、世界ジュニアというのはしっかりできる年なので、自分が行った時はいい演技ができなかったので、世界ジュニアに行って、リベンジして、世界選手権も今の状態じゃ、目標と言えないので、目標にしてやっていきたいと思います」

 一つ一つのエレメンツにおいても高い技術を持っている須本選手ですから、世界選手権の出場を“目標とは言えない”ではなく、しっかりと狙って行って欲しいと思いました。

 

<シニア男子>

 シニア男子の注目は何と言っても友野一希選手(同志社大学)と山本草太選手(中京大学)です。友野選手のショートはフィリップ・ミルズさん振り付けのロイヤルバレエのコンテンポラリーを取り入れたハードなプログラム。加えて、4回転トゥループ、4回転サルコウ+トリプルトゥループと2種類の4回転ジャンプを組み込んでいます。冒頭4回転トゥループではステップアウト、4回転サルコウ+トリプルトゥループではセカンドのトリプルで回転不足を取られてしまいましたが、音楽との一体感はさすが。ショートの演技を終えた後、息を切らせながら、囲み取材の場にやってきました。


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—点数を見ていかがですか?

友野「練習がまだまだ仕上がっていないので、しっかりサルコウ+トゥは回転が、トゥはわからないですが、しっかり決められて。アクセルの部分は全然、体力が足りてないなって感じて。4回転を2つ入れる難しさを感じましたし、初戦で、ここまで(かなり息が上がって、ハアハアと言いながら)持ってこれたのも(息を整えながら)トゥが印象よかったので、明日しっかり決められるよう、課題は残ったんですけど、点数はあまり意識せずに、とりあえず自分のやったことを練習して、明日に臨みたい」

—力強く、キレのあるプログラムですが、難しさは?

友野「フリーレッグの一つ一つの動きが、すごい明確に出るというか、目立つプログラムなので、まだまだ踊りこなせていないです。そこは今後、やるべきところで、しっかりジャンプを飛んだ上で、表現が入るように練習したいです」

—相当疲れているようですが。

友野「今までにない、4回転2本ってこんなに疲れるんだって感じで。サルコウ2本はフリーでやっていたんですが、種類が変わると難しさがあって。草太も入れてくると思うし、どういう風に試合に入れてくるかとか分析しながら、参考にしたいと思っています。とりあえず明日は集中したいと思います」

—シニア合宿の時に体づくりに向き合っているとおっしゃっていましたが、その効果は?

友野「体の安定感は増したと思いますし、その分コントロール仕切れていないというか、回転が回りすぎちゃったりとか、そういうミスが多いので。あとはうーん、作った分、きちんとコントロールできるようにしていかないとな、って思います。アクセルはもう少し軽く飛べると思うので。一つ一つのジャンプを自分の体と向き合いながら、やっていきたいと思います」

—明日のフリーは?

友野「もう思い切って、まだまだ仕上がりは良くないので、とりあえず現時点でどれだけできるのかを明日のフリーで自分を試したいと思います」

 

ここで私、もう少し体力面の強化について聞きたく、質問をしました。

—体力面の強化で具体的にやっていることは?

友野「まだ、曲かけができていなくて、海外試合の前だと僕を優先して練習することができるんですが、ちょっとサマーカップはみんな出るし、リンクでも平等なのでなかなか曲かけ練習ができない状態が続いていたので、まだまだ曲のプログラムを滑り足りてないと思うので。次はロンバルディア杯に向けて、まだ明日フリーもありますが、課題としてして滑り込むことが重要かな、あの、ちょっと見ていいですか」


 友野選手、滑走する山本草太選手の演技が始まる直前で、相当気になっていた模様。山本選手の滑りを参考にしたいと言っていましたから、急いでリンクへと向かって行きました。

 

 山本選手のショートは映画『エデンの東』です。手足が長さを生かしたスケーティングは壮大で、見るものを圧倒します。6分間練習では見事に決めていた4回転トゥループ+トリプルトゥループが2回転+2回転になるミス。冒頭の4回転サルコウはなんとか耐えましたが、トリプルアクセルは見事に決め、67.50点で2位に。
tomono
—シーズン初戦のショート終わっていかがですか?

山本「2本目のジャンプのトゥ+トゥを失敗してしまって。すぐに気持ちを切り替えられず、一瞬空白の時間が…。頭が真っ白になってしまって。そこから整理がつかなくて、次のスピンに影響が出てしまいました。反省するところが多いので、明日のフリーで挽回するように頑張ります」

—コンビネーションの最初は4回転ですよね。

山本「はい。最初がダブルになってしまって、次、トリプルをつけるのがダブルになってしまって。2回転になって0点で。得点をかなり稼げなかったなと思います」

—6分間練習の頃から4回転ジャンプは調子良さそうでしたが、ここ最近の出来としては?

山本「だいぶ、ジャンプの練習を増やして。曲で入れるように練習は積んで来られたんですが、こうやってミスが出てしまったので、しっかりフリーでミスが出ないように引きずらないように頑張りたいです」

—4回転2本、しかも1本はコンビネーションですが、今までで最高難度の構成じゃないですか?

山本「ショートは全部揃えることはできたんですが、今回は失敗してしまっていますし、フリーになると回数も増えてくるので、しっかりとフリーも頑張りたいと思います」

—サマーカップはどういう位置付けですか?

山本「オフシーズン、合宿を重ね、だいぶん練習も積んでこられましたし(少し間を開けて)・・・。こうやってミスが出てしまって、練習不足かなと思うので、まずフリーに向けて頑張りたいと思います」

ーフリーに向けて意気込みを。

山本「出るからには優勝目指してきているので、明日のフリーで挽回して頑張ります」

—試合での4回転サルコウは久しぶり?

山本「一応、初めてなんで。まあ、手をついただけ、クリーンではなかったと思うので、明日のフリー頑張ります」

ー難しいジャンプと表現、両方を追いかけていると思いますが、その割合は自分の中でどうおいている?

山本「ジャンプを終えるまではジャンプに集中しやすい軌道だったり、振り付けだったり、スケーティングにして頂いているので、それが終わった後のステップシークエンスで見せるようなプログラムかなと思うので。最初はエレメンツを後半は表現の面を全面的に出せるプログラムにしたいです」

 2日目もハイレベルな戦いが繰り広げられ、日本のフィギュアスケートの底力を感じました。

ここでお詫び。実は途中、カメラ機材のトラブルにあってしまいました。ジュニア男子、シニア男子がほとんど撮影できず、申し訳ない…。3日目のフリーはしっかりとメンテナンスをして、たくさん写真を撮りましたので、次回は写真とともに選手の活躍を紹介します<撮影・文 廉屋友美乃(かどやゆみの)>

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 第1グループに登場したのは今季からシニアデビューの横井ゆは菜選手(中京大学)。ショートはドラマ「黒い十人の女」。妻がいながら複数の女性と関係を持つ男に対し、妻と愛人が復讐をするストーリーに挑戦です。黒い衣装に復讐を企てる女の強い目力。ドラマを見ているような感覚を覚えます。

 トリプルフリップ+トリプルトゥループを見事に決めた後、ダブルアクセルではオーバーターン。そのあとはくるくると軽快なツイズルを入れていました。

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 ダブルアクセルのミスは本人が演技後の囲み取材で次のように明かしています。

横井「今回、ダブルアクセルでミスをしてしまった。あれを飛べていたら、もう少し行けていたなと。そこは悔しい部分ではあります。練習で絶好調というわけではなかったので、それでも落ち着いて練習してきたのを信じて、試合に挑めたのは良かったと思います」

—ミスがあっても点数が伸びた理由は?

横井「わからないんですが、この曲は自分で選んだんですが、やっていてすごく楽しくて。自分も楽しんで、お客さんも楽しんでもらえるような演技がしやすいのが良かった」

—お客さんの反応は良かったですが、ご自身は?

横井「アクセル失敗してしまった分、悪女なのにめっちゃ臆病な感じに(笑い)なっちゃったので、失敗しても失敗してないわよ、ぐらいの感じを出せれば。ミスをしても点数出せるようにというのが先生の指導なので。そういう風にしたいです」

—今回のサマカはどういうことを目標にしたい?

横井「この大会は年々、関東の選手も出ていて、レベルアップしている。全日本に向けて、こういうたくさんの強豪の選手がいる中で試合するのは良い経験になる。そこで結果を出せば自信になるし、よくなかったら課題も見つかると思うので」

—フリーに向けての意気込みは。

横井「去年のジュニアのオペラ座とは違うというのを出だしからわかっていただけるようにやりたいと思います」

—ダブルアクセルの後はツイズルを入れたのかと思うぐらい余裕だったのかなと思うのですが。

横井「失敗したら、後はごまかすしかないので。と言っても私はツイズルが下手なので、逆にマイナスをもらうかもしれないという感じだったのですが。先生から“苦肉の策だね”みたいな感じで言われて(笑い)。簡単なジャンプで失敗ほどもったいないことはないので。加点の頂けるジャンプなので、そこは集中できなかったかもしれないので、そこは明日、集中してやりたいと思います」

—あのツイズルはパッと思いついた?

横井「私あるあるなんですが、オーバーターンした瞬間、もう一回くるくる回る(笑い)。去年の全日本のループもそうだったと思いますが。ごまかすっていうのも大事だと思います。それによってマイナスされる幅も違うので。失敗した時にどういうリカバリーをするかも今後の課題にしていきたいと思います」

—だいぶ、成熟というかこなれてきたのかなという感じですが。(ショート初お披露目から)1ヶ月経ってどうですか?

横井「ちょっと前、2〜3日前にジャンプの調子が悪かった時に先生がプログラムをしっかりやろうって言って、細かいところまで言ってくださって。それが100%できたわけではないですが、もっと試合を重ねるごとにうわーと思われるような女性になれるようにしたいです」

—表現の面で気をつけていることは?

横井「普通に表現もそうですが、私はどうしてもフリーレッグが綺麗に処理できないので、そこをうるさく先生に言われているので。まだ完璧ではないので、コミカルさや独特さの中にフィギュアスケートである以上、綺麗な部分も入れないとただの雑な演技になってしまうので。そこをしっかり練習していこうと思いました

 十人の女性をそれぞれ演じ分ける難しいプログラム。シニアに上がって、円熟味がました横井選手の演技に会場中が酔いしれていました。67.01点でショート2位。

 

 第2グループでは山下真瑚選手(中京大中京高校)がレッドの衣装で現れました。曲は去年から継続で「Una Voce Poco Fa」。キュートな雰囲気を持つ彼女にぴったりのプログラムです。
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 しかし冒頭のジャンプはトリプルサルコウ+トリプルトゥループ。トリプルルッツ+トルプルトゥループを軽々と決める彼女にしては難度を下げたプログラムです。

 どうやらこの時、足を痛めていたそう。

—演技を終えて。

山下「サルコウ+トゥであれだけフラフラになっていて、点数を出してもらえたのは良かったかなと思います」

—ジャンプは難度を下げたイメージだったのですが。

山下「足の調子がまだ良くならなくて。この試合はサルコウ+トゥとか。ルッツはやらずにレベルを落としました」

—明日も同じ?

山下「明日はダブルのフリップは入れるんですが、後はループまで」

—ショートのプログラムは去年から引き続きですが、完成度は?

山下「やっぱり足を怪我していて。何回も通したりすることができない状態なので、なんとも言えないんですけど、これからはもっと完成度を上げていけたらいいなと思います」

—明日のフリーはどんな滑りがしたいですか?

山下「明日も難度は低いんですけど、ジャンプができないなりに自分ができることを出し切れたらいいなと思います」

—足が痛いなりにサマーカップに出場した意図は?

山下「やっぱり自分の中では1戦目が海外試合じゃなくて、一回、国内で滑ってから海外にいきたいと思ったのが理由です」

—目標は?

山下「足の痛みを治すことが一番だと思います」

—シニア2年目。お姉さんたちの中で戦うのは慣れてきましたか?

山下「だいぶ慣れてきて、楽しくなっているので、いいことかなと思います」

—足の怪我はいつからでどんな経過をたどりましたか?

山下「5月ぐらいから、両足の甲を痛めました」

—ジャンプで?

山下「靴を変えたこととかいろんなことが重なってです」

—いつから通しの練習できるようになりました?

山下「ジャンプを入れずにだったら通してできたんですけど、ジャンプ入れてだと最近です」

—一週間とか?

山下「もう少し前ですけど、そんなにはできていないです」

—合宿の時に病院にかかっても、怪我の具体的にわからないとおっしゃていましたが、その後も同じ?

山下「はい」

—両足はテーピングしている?どういう状態で出ている?

山下「テーピングも痛み止めも試したんですが、全然効果がわからないので。できるだけ痛くないことをしていろんなことをしています」

 それでもスピンやステップは軽やか。61.12点でショート3位につけました。

 

 ショート1位で折り返したのは白岩優奈選手(関西大学KFSC)。トリプルルッツ+トリプルトゥループ、ダブルアクセル、トリプルループ共に流れがあり、ノーミス。バレリーナを思わせるような白い衣装と優雅な演技で点数は68.52
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しかし白岩選手も本調子ではなく、体調を崩していたそう。

 

—プログラム終えてどうですか?

白岩「シーズンのお披露目の場で、去年のシーズンベストは超えられるようになってきたので、そこは良かった思うし、これから練習を続けていくといいのかなと思います」

—ループの調子も良さそうでしたが。

白岩「えっと2日前に風邪をひいてしまって。滑ることができなくて、今、ちょっと滑った時もボロボロで。どうしようかなと思ったんですが、特に難しいジャンプが入っているわけでもなく、去年、その前から継続しているので、特に考えずに出ようかなと思っています」

—ショートの見所は。

白岩「去年のショートに比べると静かな曲になっていて、去年と違いを出したい」

ー昨シーズン、トリプルアクセルを頑張りたいということでしたが、その調子は?

白岩「調子がいいときは調子が良くて。まだ、きれいには飛べてないですけど、もうちょっとでクリーンになるので、遅くてもグランプリシリーズには間に合うぐらいの調子には持っていきたい」

—明日のフリーは?

白岩「多分、まだ決めてないですけど、練習ではアクセルをやっているので」

—明日の意気込みを。

白岩「フリーは重いテーマの曲なので、ショートとの違いを評価してもらえるようにしたいです」

—どんなテーマで。

白岩「死に関するテーマの映画なんですが、まだ死を経験したことないというか、身近に経験をしたことがないので、難しいんじゃないかということで。囚われている自分を解放したいメッセージ、テーマで滑ります」

 少し息切れながらも、満面の笑みで取材に応じた白岩選手。バレエやダンスを普段から取り入れることで表現力もうんと増し、肩の力も抜けた様子でした。

 

 シニア女子で大きな注目を寄せたのは2018年全日本チャンピオンの坂本花織選手(シスメックス)。スピードのある滑りは圧巻です。トリプルフリップ+トリプルトゥループはなんとか堪え、ダブルアクセルは決めたものの、トリプルループで転倒。58.62点で6位。

 

 

kaori—滑ってみての感想は。

坂本「今シーズン初めての試合で、アイスショーでもやってきたんですが、練習ではやっていたミスがそのまま出てしまったので。なんとも言えないです」

—一番悔しいポイントは? 練習の中でも課題が見えた?

坂本「久々の緊張感で足も震えながらやったんですが、前は打ち勝てるような練習をしていたので。その練習ができなかったので、今回の結果だと思う」

—本番前に助走を意識しているのかなと思ったのですが。

坂本「助走というかジャンプの入り方次第で、決まってくるので。入り方のチェックを確認していました」

—得意なジャンプの中で課題にしていることは?

坂本「ジャンプ3つとも最初の入り方がちょっとでもずれてしまうとミスに繋がってしまうので。そこは気をつけて、また元の自分のジャンプに戻したいです」

—今回、一番練習してきたことは?

坂本「いつもこういうミスが多いので、ステップ、スピンのレベルは落とさないようにというのは先生方と練習してきたので。そこが落ちていなければいいなと思います」

—明日のフリーへのポイントは。

坂本「今日は集中しきれてなかったので、明日は最善を尽くせるようにしたいです」

—アイスショーでは何度も滑っていたと思いますが、実際やってみて、お客さんの反応は?

坂本「アイスショーはリンクも小さいですし、スピードを制限しながら、ぶっ飛ばして行かないといけないので。アイスショーならできたんですが、お客さんの位置も上の方にあるので。そうなるとアイスショーとは違う環境で滑ることになるので。アイスショーでできたから大丈夫という心の余裕というか気が緩んでしまったと思うんで。そこは直していきたいです」

—今年の仕上がりは?

坂本「去年よりはアイスショーでもノーミスで、できたり。最後の『THE ICE』でも転けたりとかはなかったので、そのモチベーションのままで行こうと思ったんですが。試合とアイスショーの緊張感は違ったので悔しいです」

—練習でもミスがあった?

坂本「3+3だったらフリップがすごい適当に飛んでしまってトゥループにつながるような降り方ができなかったり。今回はなんとか耐えられたんですが、いつもだったらトゥループで転けたりとか。ループは自分ではしてなかったので、予期せぬ失敗でした。失敗は練習からしているので、練習以上のものは出なかったんだなと。

 去年はスローな曲で息を整えながらできたんですが、今年の曲は息抜くところがないので、きついんですが、ちょっと試合終わったら練習します」

—明日はアクセルに挑戦する?

坂本「やめると思います」

 まだまだシーズンは始まったばかり。坂本選手のダイナミックなジャンプとプログラムの完成度が高まっていくのを期待しましょう。

 

 大会が行われる数週間前から日本列島は猛暑に包まれていました。外は30度以上の猛暑。ですが、リンクの中はダウンジャケットが必要なほど冷えています。外と中との寒暖差で体調を崩す選手も少なからずいました。

 樋口新葉選手(明治大学/ノエビア)は冒頭のダブルアクセルを決めましたが、トリプルがダブルルッツに、トリプルフリップにコンビネーションがつけられないミスがあり、48.9215位。いつもの彼女のスピード感ある演技ではなく、少し元気がなさそうでした。

—ショートを振り返って。

樋口「先週(飯塚杯)とあまり変わってない感じがしたのと自分自身、滑っていて息ができなくて。すごい辛かったなと思います」

—一週間はどんな練習を?

樋口「とりあえずミスをしないようにしていたんですが、結構、力が入っている感じなので、それを直していきたいなと思います」

ーお客さんのリアクションは見た?

樋口「あまり考えられない感じでした」

—これからどんな風に練習していきたい?

樋口「まだ2戦目なので。国際試合まで1ヶ月しかないので、焦らずにできることを増やしていきたい」

ー作り上げたプログラムはどういう風に見せたいですか?

樋口「ステップの部分を一番練習してきたので、そこをとにかくレベルを落とさないようにしたい」

—体調が良くない?

樋口「あまり夏に体調を崩すことはなかったので、結構、試合もあるのにきついなっていうのはあります」

—ほとんどダンスのようなプログラムだと思うんですが、体力面は?

樋口「ショートもフリーもきついのでジャンプを入れてやったら、バテバテになるプログラムなので、そこをもう少し楽に滑れるところは楽に滑れるようにしたい」

 

最後に「今日は滑りきれるか不安だった」というほど、体調面に不安を抱えていたようです。
 翌日のフリーは残念ながら棄権してしまいましたが、ショートのステップシークエンスはレベル4。体調を整え、魅力溢れる新葉ワールドを今シーズン期待しましょう。 
 男子のレポートもつづけます。
<撮影・文 廉屋友美乃(かどやゆみの)>


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1

  2019
年8月10日〜12日まで滋賀県立アイスアリーナで開催された『げんさんサマーカップ2019フィギュアスケート競技会』(以下・サマーカップ)を取材して来ました。
<撮影・文 廉屋友美乃(かどやゆみの)>

 

 大会初日はジュニア女子6級と7級の試合が行われました。

*注釈 女子は7級をとると五輪選考会を兼ねた全日本選手権の予選にエントリーすることができます。8級は試合のエントリーとは関係がなく、トリプルアクセルが条件になりますから、取得している選手はあまり多くありません。


 8時からジュニア女子6級が開始。出場する選手たちが自らの出番を待ちます。
 会場のフロアで母親にメイクをしてもらう選手、ジャンプを入念に確認する選手、ストレッチで体をほぐす選手と準備に余念がありません。
 こうやって選手との距離を近く感じられるのも、サマーカップの良いところ。
 さっきまで目の前で出場するまでの準備をしていた選手たちがリンクの上で戦いを繰り広げる。グッと胸が熱くなります。

 

 この日、シニア女子の三原舞依選手(シスメックス)が棄権と発表がありました。
 ファンの間では「舞依ちゃん大丈夫かな?」「舞依ちゃんのことが心配」と声があがりました。
 やはり彼女の体が最優先と皆、復調を願っていました。

*注釈 後の「体調不良のため」と発表されます。彼女の美しいスケーティングを見るのを楽しみにしていたファンも多くいました。が、やはり彼女の体が最優先と皆、復調を願っていました。

2


 ジュニア女子は非常にレベルの高い戦いとなりました。やはり目を引いたのはショート1位通過の松生理乃選手(グランプリ東海クラブ)。3

 淡いピンクと紫のグラデーションがきいた衣装です。ショートプログラム『カラーパープル』を演じました。手の動かし方が非常に美しく、バレエジャンプの入ったステップもなめらか。63.94をマークしました。

 

 ショート3位の住吉りをん選手(駒場学園高校)。
4
 冒頭のダブルアクセルは決めたものの、トリプルフリップで転倒、コンビネーションがつけられないミス。ただし、その後のトリプルループは流れがありました。
 
注釈 ショートプログラムはジャンプが4つだけ。そのうち2つはコンビネーション、1つは単独のアクセル系ジャンプです。

 ステップ、レイバックスピンも空気をまとうような軽やかさで、まさに天使のような演技でした。フィニッシュでまさかの尻もちをつき、本人も思わず苦笑いしていました。

  ショートの曲『The rose』は宮本賢二さん振り付けで住吉選手本人も「好きな曲で、気持ちよく滑れた」と聴くだけで感情が上がるそう。点数は54.27でした。

 

 ショート2位で折り返したのは本田望結選手(関西大学中・高スケート部)。
5


 トリプルルッツ+ダブルトゥループ、トリプルループ、ダブルアクセルとジャンプはミスなし。持ち前の表現力で、スピン、ステップ共に洗練されていました。演技後、


「ジャンプは全てしっかり決まって、練習では全く決まってなかったので、練習のまま本番に出てしまったのは自分のいいところでもあり、悪いところでもある。今日は練習と違う演技ができて、すごくホッとしています」

 と安堵した様子でした。


6

 昨年のサマーカップでトリプルアクセルを決めたた吉田陽菜選手(名東FSC)
。その後、腰を痛めて欠場がつづきました。
 この日はレモンイエローの衣装で登場。ショートの曲は映画「ラ・ラ・ランド」です。音楽に合わせたステップは映画の世界観そのものでした。
 トリプルルッツ+ダブルトゥループのコンビネーションが詰まってしまったこと、スピンも思うように回れず悔しい思いをしたと演技終了後、語ってくれました。

 

—ショートを終えての感想は。

吉田「ジャンプはルッツ+トゥもループも納得いくジャンプができなくて、スピンも思うように回れなくて、マイナスがついていると思うので、結構、自分的には悔しいです」

—原因は?

吉田「最近、身長が伸びて3−3が前よりも確率が低くなっていて、去年よりは自信がなかったかな、と」

—身長はどのぐらい伸びた?

吉田「1年で7センチとか伸びていて。150センチはあると思います。去年から今年にかけて一番伸びています」

—それによって今までできていたことができなくなってきた?

吉田「一応、飛べるんですけど、確率が少しずつ低くなっているのかな」

—この大会ではどのような目標を持っている?

吉田「自分が練習通りの演技をして、フリーではアクセルにも挑戦するので、アクセルをちゃんと降りて、他のジャンプも全部降りられるようにしたいです」

—アクセルには身長が伸びたことは影響していない?

吉田「アクセルは確率的には落ちてないかもしれないんですが、飛びにいっている本数は結構、集中しないと飛べないので、そういう意味ではまだ成長してない」

—アクセルの成功率は?

吉田「40%とか50%はいってないと思う」

—今シーズン、試合にたくさん出ているかと思いますが、体力的には?

吉田「試合がないと気合も入らないし、ちょっと浮いてしまうというか、練習がしっかりできないので、試合がたくさんあることはありがたいことなので、全部の試合で納得できる演技がしたいです」

—去年、試合に出られなかった分、感じることはありますか?

吉田「去年はここで終わってしまったので、今シーズンの一番の目標は怪我なく、納得いく結果を残すことなので、自分の体の調子を全日本ジュニアに向けて、整えていけるように頑張ります」

 6分間練習では好調のように見えたのですが、やはり成長期の壁も感じているよう。しかし試合に出られる喜びは体全体から溢れ出ていました。ショートの点数は49.94で8位。

*注釈 身長がのびている時期は、ジャンプの感覚や飛んでいるとき目に入る高さも変わってしまいます。日々の練習をつづけ、そのつど調整していくしかありません。選手も指導者も辛抱の期間です。

 

 7

 浦松千聖選手(中京大中京高校)は昨年に引き続きショートは「トゥーランドット」。冒頭のトリプルルッツにコンビネーションがつけられませんでしたが、スピンは全てレベル4。スケーティングも壮大でした。

 演技を終え、ジャンプのミスを悔しがる浦松選手。点数は48.1011位。

—ミスしてしまった原因は?

浦松「合宿から帰ってきて、そこから試合までの期間が短くて、調子が崩れていたのを立て直せないままここに来てしまったのが原因としてある。フリーに向けて、見直して行こうと思います」

—今まで調子の良かったショートがこのような形になってしまったことは経験として活かせそうですか?

浦松「今後、ショートの一番初めのジャンプをどう持っていくかがわかったので、活かしていきたいと思います」

—先シーズンはフリーが体力的にきついという話もありましたが、オフシーズンそういった面で取り組んだことはありますか?

浦松「フリーがやはり苦手なので、フリーの後半の練習をやるようにしたら、安定して来たので、フリーで順位をあげるように頑張ります」

—トリプルルッツ+トリプルループを練習している話でしたが、明日のフリーは?

浦松「明日のフリーは入れられないので、とりあえずルッツ+トゥを降りて、セカンドのトリプルトゥを降りられるようにしたいです」

—今回のサマーカップはどのようなことを目標にしている?

浦松「ショートもフリーも揃えることだったんですが、それが叶わなかったのでとりあえずフリーでいつもよりいい演技ができることを今は目標にしています」

—今シーズン新しくなったフリーだと思いますが、意気込みは。

浦松「ショートでこんな形になってしまったので、フリーでは思い切りやって結果を気にせずに全力を尽くしたいです」

—ジュニア合宿で得たことは?

浦松「周りの選手たちが全員上手なので、高難度のジャンプとか挑戦しているのですごく刺激を受けました」

—練習でもモチベーション上がりましたか?

浦松「はい。みんな練習でもミスをしていないので、やはり練習からきちんとやることを学びました」

—その中でも自分の武器は?

浦松「踊りの面で、ジャンプもそこまで得意じゃないので踊りの部分でしなやかに踊れるようにしたいです」

 

 8

 手嶋里佳選手(名東FSC)はサーモンピンクのセパレートの衣装で登場。ショートの「シェヘラザード」ではトリプルルッツ+トリプルトゥループを軽やかに決めました。点数は49.967位。

—演技を終えた感想は?

手嶋「スピンがまだレベルが取れてないところがあって、回転数が足りなかったりしたので、そこがダメだったなと思います」

—点数についてはどう感じました?

手嶋「やはりいろんなところでミスがあったので、まだまだダメだと思いました」

—同じクラブの吉田陽菜選手がトリプルアクセルの練習を続けていますが、ご自身は?

手嶋「まだです」

—フリーはどんなことを気をつけて練習している?

手嶋「曲が変わってないので、この曲を極め続けようと思っています」

 

 9


 ショート6位は渡辺倫果選手(青森山田高校)。ショートは「バチェラレット」です。トリプルルッツ+ダブルトゥループ、ダブルアクセル、トリプルループのジャンプはキレがあり、プログラムも大人っぽい印象。点数は50.34。

 

 長縄和奏選手(中京大中京高校)はトリプルサルコウ+ダブルトゥループ、ダブルアクセルは決めたものの、トリプルループで転倒。いずれも高さのあるジャンプでしたが、本調子でなかったのか、ミスが響き、点数は46.0715位。

10

 横井きな結選手(邦和スポーツランド)のショートは「雨に唄えば」。鮮やかなブルーの衣装で登場しました。冒頭のトリプルルッツ+ダブルトゥループはなんとか堪えて着氷。ダブルアクセルは美しく決めましたが、トリプルループの転倒が残念でした。しかし観客を巻き込む演技を見せ、会場をきな結ワールドに染め上げました。42.33点で19位。

 

—演技を終えてどうでしたか?

横井「最近、本調子ではなかったので、それが試合に出てかなと思います」

—本調子じゃない理由は?

横井「自分ではよくわからないんですが、今までの注意を忘れてしまったり、飛べていた時の感覚をちゃんと覚えていなかったのかなと」

—今後どうやって修正してきたい?

横井「自分のどこが悪いかを自分で直して、自分で解決したらいい演技ができると思います」

—トリプルアクセル自体の調子はいかがですか?

横井「アクセルの方が良くて、他のジャンプが乱れてしまっているので、アクセルは今まで通りにフリーに組み込めていけたら」

—アクセルはどの程度まで調子が良い?

横井「先シーズンよりアクセルを練習する回数を徐々に上げていって、そしたら確率もよくなって、飛び方も良くなっているかなと。普通に練習通りにやっていけたら」

—フリーへの意気込みを。

横井「フリーはトリプルアクセルを1本目に。いつも2本目だったんですが、1本目のコンビネーションに入れることにしたので、最初と最後きついんですけど、挑戦できたら」

—1本目にした理由は?

横井「ジャンプとジャンプの間に入れるということは、難しかったので、一番最初に入れると、飛ぶ時ちょっと安心できるかなと思ったので」

 

 初日からジュニア女子は國際試合を思わせるほどハイレベルな戦い、今シーズンの盛り上がりを予感させてくれました。

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 シニア女子は今季からシニア参戦の横井ゆは菜選手(中京大学)が優勝しました。横井選手はショートの『黒い十人の女』では悪女を、フリーでは『オペラ座の怪人』のクリスティーヌを見事に演じました。
 2位は
坂本花織選手(シスメックス)、3位は白岩優奈選手(関西大学KFC)という結果に。ジュニア女子はレベルの高さを強く感じる戦いとなりました。
 優勝した
松生理乃選手(グランプリ東海クラブ)はフリー後半にトリプルルッツ+トリプルトゥーループ+ダブルトゥーループ、トリプルフリップ+トリプルトゥーループ、トリプルループ+ダブルトゥーループを決めました。
 2位の
住吉りをん選手(駒場学園高校)はレイバックスピンがとりわけ美しく、スケーティングも伸びやか。3位の吉田陽菜選手(名東FSC)は冒頭でトリプルアクセルを見事に決めました。
 その他にも今後の活躍が楽しみな選手がジュニアにはたくさんいます。
 選手たちのコメントやレポートは随時アップしていきます。<撮影・文 
廉屋友美乃(かどやゆみの)>

無題
ジュニア女子2位の住吉りをん選手。フリーは映画「ロシュフォールの恋人たち」より。

松生
 ジュニア女子を制したのは松生理乃選手。フリー後半は3本とも連続ジャンプを入れた攻めの構成。

yuhana
 
シニア女子は今年からシニア参戦の中京大学の横井ゆは菜選手が優勝。

kaori
 フリーで女スパイを演じたシスメックスの坂本花織選手。

yuuna
  シニア女子ショート1位は関西大学KFSCの白岩優奈選手。


hinayoshida
 名東FSCの吉田陽菜選手はフリーで見事にトリプルアクセルを決めた。
無題










フリーで映画「タイタニック」を演じた大庭雅選手(東海東京FH)



 まだまだつづきます!

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 シニア男子は友野一希選手(同志社大学)、ジュニア男子は須本光希選手(関西大学)が制しました。
 
友野選手はフリーで4回転トゥーループと3回転トゥーループのコンビネーション、4回転サルコウを着氷。ミーシャ・ジーさん振付の映画『ムーラン・ルージュ』の世界観を見事に表現していました。
 シニア男子は2位に
山本草太選手(中京大学)、3位に山隈太一朗選手(明治大学)という結果になりました。
 ジュニア男子の
須本選手は前の週に行われた飯塚杯ではシニア参戦でしたが、今大会ではジュニア。
 その理由は次回のレポートで詳しくお伝えします。
 2位に
三宅星南選手、3位に森口澄士選手が表彰台がに上がりました。
 次回は大会レポートとともに注目選手たちのコメントを掲載します。
                          <撮影・文 廉屋友美乃(かどやゆみの)>

佐々木
 6位の佐々木晴也選手(関西大学KFSC)。ショートではトリプルアクセルが見事に決まった。

無題
 垣内珀琉選手(ひょうご西宮FSC)はフリーで「マトリックス」を演じています。

片伊勢
 片伊勢武選手(神戸FSC)はフリーでステファン・ランビエール振付の「ドンキホーテ」を演じています。

須本
 ジュニア男子を制した須本光希選手(関西大学)。今季からはシニアに参戦する。

三宅

 ジュニア男子2位の三宅星南選手(岡山理大附属高校)フリーは「ラストサムライ」。

山本草太
 明治大学に進学し、新たな環境で力をつけてきた山隈太一朗選手。シニア男子3位に入った。


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ショートで「エデンの東」を演じた山本草太選手(中京大学)。伸びやかなスケーティングで会場を魅了


杉山匠海
 ジュニア男子4位の杉山匠海選手(就実学園)は4回転トーループにトライ。


吉岡
 中村俊介選手(関西大学KFSC)はアメリカのヴィンセント・ジョウ選手と練習したことが刺激となっているそうです。

無題
 吉岡希選手(アクアピアスケーティングクラブはショートではトリプルアクセルを美しく決めた。
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 シニア男子優勝は友野一希選手(同志社大学)
表彰台3人


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